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 旧暦の年越しに思ったこと

 1月24日は旧暦で元旦。となれば1月23日はもちろん大晦日なわけで、イベント・行事を殊のほか愛する自分にはやはり“年越しそば”は欠かすことが出来ない。色々と演出があってもいいものだが、ストレートに「年越しそばを食する」である。そばは市販のものだが、その分、器は思いっきり楽しみたいもの。といっても、その器となると誂えは奥が深い。盛皿、そば猪口、薬味皿、小鉢、箸置き、箸、湯桶、敷物。その取り合わせはなかなか苦心するが、ピタッと決まった時は自然とその満足感に顔がニヤけるもの。喉に滑り込むそばのなんと心地よいことか。むろん打ちたてのそばであれば何も言う言葉はないであろう。それほど主役を引き立てる脇役、つまりそばを引き立てる器たちが大切だということ。(食えばいいというのであれば論外だが)「器は着物である」。同じ人間でも着物によって化ける、いや見違えるのはよくあることで、失敗した!なんていうのは皆さん経験済みのことであろう。
 特に日本人というもの、繊細で季節感のある料理と器、そして時と空間の絶妙の誂え方を大切にする独特な心と感性を相当大昔から持ち合わせていると思う。それは世界にも誇れるすばらしい美意識だと思うのである。
 “器”それ自体存在感が大切なのは言うまでも無い。けれども上手に盛ってこそ、その存在感は数倍引き立つ。もちろん料理もそのとおり。さらに言えば、器の選び方はもちろん、盛られた料理と器の“余白”がものすごく重要である。器と料理の適度な緊張関係。器の持つ空間と料理そのものの持つ空間の関係で言えば、その料理を盛った時、盛られていない部分の器の空間が美しさに決定的な意味を持つ。人間も余白を活かせる器になりたいものだ。包み込んでなお余裕のある器の大きさ。・・・と、かなり横道にそれすぎてしまったが、“美しく取り合わせる”ことに難しさはあるけれど、それは本当に楽しいものなのだ。日常的にとは言わない。せめて特別な時位は、食べる人の感動する姿を思い浮かべながら、楽しんで器を取り合わせたい。ということで、結局なんのことは無い、とても美味しく蕎麦を食べて満足したというだけのことだったのだが・・・
 次にそばを食する時、その自分流誂えをご紹介できればと思うが、うんちくを語っただけに、批判が恐ろしい。
 読み疲れたところで申し訳ないが、おなじみの“鐙摺蕎麦会会長”から「そばよもやま話」が寄せられているので、もう少しの間お付き合い願いたい。

【そばよもやま話】

 21世紀の幕開けは生憎の曇り、そして雪まじりの悪天候となった。激動の20世紀が去り新世紀はどんな時代になるのか。日本はどうなっていくのか。世界はどのような動きをするのか。元旦にそばを打ちながらふと考えた! 初打ちにしては水回し、捏ね、のしすべて完璧、そして、そば切り、いつもよりかなり細くそして長く精神を集中して打ち上げた。いつしか10年を経過した恒例の元旦祭、元日暇な連中が集まり初日の出を見ながら酒を酌み交わし酔いっぶれる1日、いつしか参加する顔ぶれも時代と共に変わった。
 そして近年、年越しそばならぬ、「元旦そば」が定着し、そばを食いに集まって来るようになった。中には、どさくさに紛れて4人前をたいらげる不届き者もいる始末。初参加にしては不作法ではないか。ともあれ、午前11時に始まった元旦祭も酔いつぶれて午後7時にお開きとなった次第である。
 さて、小生もそばと付き合って20年目を迎えることになった(途中6年程ブランク)当時そばを栽培している人はほとんどいなく見よう見まねで栽培に取り組んだものだ。しかし、ほんとうに収量は少なく、ここ10年で10アール平均50k g、多い年で140k gが最高である。
 そばの食い歩きもそれなりに嗜んだ。一昨年は戸隠村の霧下そばを食いに出向いた。そば屋がむらの象徴みたいに至るところに暖簾を垂らしていた。小生は、なるべく大きな店でなく老夫婦がやっているこじんまりとした店に足を運び蕎麦談義をしながら「霧下そば」を一枚いただいた。ざるそば1600円・・・・・こんなものかなあ〜甘みがない? そば通なら察しがつくと思うが・・・・名物に美味いものなしかな!そばに至っては80%以上が海外からの輸入が占めている。国内が20%・・・これが本当の「二・八そば」なのである。
 そばの旬は春の彼岸まで・・・皆さんも「本当」でなく「本物」の二・八そばを探して食べ歩きをしてみたらどうですか!小生は本物の「生粉打ちそば」を探求し続けたいと21世紀の始まりに決意を新たにした次第である。
                    鐙摺蕎麦会会長

【太陽の村】発  〜いよいよ地元産そば粉100%のそばがお目見え!〜
 柴田の土で育ったすごく美味しいそばが、太陽の村レストランで本格的な「手打ちそば」として味わうことが出来るようになりました。そば粉はもちろん100%地元産。玄そばから“挽く、打つ,茹でる”を太陽の村ですべて行い、丁寧に作ります。温かいそばもありますが、“地元産手打ちそば”はそばの旨さを味わえる「ざるそば」のみで、限定食になります。
 2/1からスタート。土曜、日曜、祝日以外は予約が必要になります。また、人数が多い場合も事前に連絡したほうがベター。
 ★並700円
 ★大盛900円(並の1.5倍)
 ★追加ざる一枚400円   (消費税別)

試食レポート
 細麺でとても腰があるが、ボソボソ感はまったくない。細麺だけに喉越しがすこぶる良く、口の中にフワっと大地の香りが広がります。お世辞でなくほんとに旨い。おすすめですよ!一度すばらしい眺望とともに是非そばを味わいに!!また、若い職員が一生懸命そばを打っている姿はとても好感が持てました。
そばを自分で打ってみたい方には・・・・
 〜太陽の村で随時教室が開かれており、大変好評です。〜
 ★開催日:2/10(土)、24(土)いずれも午前9:30から12:00まで
 ★参加費1:800円
 ★申込/問合せ:「太陽の村」 TEL0224-56-3970 FAX0224-56-3973
  ※打ちたて10割そばの試食、自分で打ったそばはおもちかえり。(約4〜5人分)