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 何とも美味しい!先日「柴田町太陽の村」で開催している“そば打ち体験教室”に参加してみた。100%地元産のそば粉を使った本格そば打ち。まず先生が実践してみせる。つなぎ無しなのにボロボロにならない。口は悪いが腕はいい。手早く打って、ゆでて、さあ試食。細麺なれどとてもシッカリとした強靭なコシとツルッとした爽快な喉越し。勢いよくのどを通過したあとの、鼻から抜ける大地の香り。感動ものである。本場で有名な店でも田舎そばと称して、太くてぼそぼそとしたそばがあるが、どうも性に合わない。
 参加者が打つそばは、いわゆる“二八そば”(つなぎ2割そば粉8割)。つなぎが入っている分まとまりやすい。参加者の多くは初心者なので見てくれはたいがい武骨なものが出来上がる。非常に個性的でなかなか笑える。「それって、うどん?」・・・だが、持ち帰って、先生からの教えに気をつけながらゆでて(家庭用コンロでは火力が弱いせいか、教室のときのようにならない)恐る恐る食べてみると、それが存外美味しく、家族もまったく期待していない分相当驚いている様子。してやったり!と自然と笑みがこぼれる。
 ところで、素朴な疑問だが、地元で“そば”が穫れるの?と思っている人が多いだろう。
 柴田のそばについてご紹介する。
 柴田では、以前から我が家で食を楽しむ程度に栽培している農家があった。
H5年ごろから栽培農家が増え始め、H8年には22戸2.7haの規模になる。
折から、遊休農地(作物が作られていない農地)の増加・荒廃などが全国的な問題となってきており、その有効活用をしていくため、日本の食文化の代表選手である「そば」に目をつけた。そばは少々痩せた土地でも育ち、栽培に手がかからない。昔は作物が大不作であった時の非常食としての役割も果たしてきた便利屋である。そこで、町の地域特産品として位置付けしH9年から事業導入。H10年から大幅に耕地を拡大し作付け開始。町と農協、農家が連携推進してきた結果、今では「柴田町そば生産協議会」や「柴田高原そば生産組合」が組織され、組合関連の作付面積だけでも10haを超えるまでになった。また、そば好きが集まった「しばた手打ちそば研究会」なるものが結成され、自らのそば打ち技術向上と技術普及等そば振興のため日々活動中である。こんな動きの中、昨年11月には「第一回しばた新そばまつり」を盛大に開催し、来場者400人以上、ざるそば売上500食を数え、打ち手は「腕が折れる寸前だったよ(笑)」と大忙しであった。また今秋も自分で育てたかわいいそばを我が大地の香りをみんなに楽しんでもらおうと、張り切っている。
 ちなみに、そば打ち体験教室は、風光明媚・閑静な「柴田町太陽の村」で随時開催している。(地場産そば粉が無くなれば終わり)講師は前述した「しばた手打ちそば研究会」の心やさしき面々である。
 そば・・・単純素朴がゆえの奥深さ、心をつかんで離さない愛すべき素材である。今年も間もなく種がまかれる。9月には純白の花が満面の笑みをたたえてわれわれを迎えてくれるだろう。清々しく、いじらしく。