8シンガポールで迎えるお正月
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。
シンガポールも日本に1時間遅れて2002年の元旦を迎えました。 例年に比べて気のせいかとても静かな大晦日でした。いつもでしたら街中に人が繰り出し(特に若者)新しい年に向けてあちらこちらでカウントダウンパーティーが繰り広げられます。テレビはカウントダウンパーティーを中継し、12時を迎えると同時に花火が打ち上げられてトロピカルニューイヤーを盛り上げるのですが、今年はやはり不況のあおりでパーティー会場の数も少なく、花火もなくシンガポールには似合わない静かな2001年の幕切れでした。 我が家の子供達も、いつもの年でしたら、カウントダウンに出かけてしまい、遅い帰宅に気をもまされるところですが、今年のカウントダウンはつまらないからと出かける様子もなく家族でカウントダウンをするはめになりました。 暮のうちに日系のデパートで手に入れていた年越しそばを家族で食し、テレビと一緒にカウントダウンで新年を迎えました。Happy New Year!と言う夫や子供達に、何かちょっと違うなと思いながら「明けましておめでとうございます。」と返すのも例年の我が家の習いになっています。 お正月を迎えるあの厳かで清々しく清らかな雰囲気がどこにも見当たらない1月1日に慣れるまで私はかなりの年月を要してしまいました。元旦の朝を迎えるあの厳かで清々しい心情は、日本の風土、文化によって育まれて来た日本人特有のものでひょっとしたら日本人しか持っていないのではないかとも思えます。カウントダウンで大騒ぎをした翌日のシンガポールの1月1日はNew Year’s Dayとして祭日ですが、特別な祝い事もなく、お店もデパートも電車もバスも人々の生活も昨日の続きの今日でいつもと同じに暮れていきます。 シンガポールは複合民族国家ですから、それぞれの民族がそれぞれの民族の行事を盛大に大切に祝います。そのことが1月元旦はシンガポール人には特別に祝う日ではない理由なのではないでしょうか。例えばシンガポールの人口構成で一番多数を占めている中国系社会では中国正月と呼ばれる旧暦の1月1日を大切にそして盛大に祝います。デパートも会社も銀行も公官庁もその時だけは2日間閉まってしまいます。二番目に人口を占めているマレー系ではつい数週間前に祝われた、イスラム教の最も大切な行事である断食明けのお祭りで「ハリラヤ」と呼ばれる日。インド系社会ではヒンズー教のカレンダーでお正月に当る「ディパバリ」。ユーラシア系、クリスチャンの社会ではクリスマスが大切な日となっています。シンガポールでは1月1日はただの祭日。太陽暦ではNew Year’s Dayですが、それぞれの民族は、それぞれの民族のカレンダーに従って伝統と文化を守っていますから民族ごとのカレンダーのお正月が大切で意味深い日なのです。ですから、シンガポールでは1月1日は皆が休める嬉しい祭日ではあっても、特別な日ではないのです。 明日2日から、シンガポールの全ての学校は2カ月近くの休みが終わり新学期が始まります。公官庁も銀行も会社もデパートも仕事始めです。「仕事始め」という表現さえシンガポールでは意味を持たないのですが、日本人の私にはやはり明日から「仕事始め」と新たな気分が起きてきます。でももう少し休みたいと思いながら、今年も仕事を通してどんなハプニングや出来事に出会うのか、そう期待して「仕事始め」を楽しみたいものです。 |