7年の終わりの月に
新しい世紀の始まりを祝ったばかりと思っていましたら、もう今年も最後の月を迎えてしまいました。私の故郷、博多では冬らしい寒さが訪れるのは12月に入ってからだったようですが、今年は寒さの訪れが早かったと聞いています。
シンガポールも今年は雨季の到来がいつもの年よりもかなり早目で、待ちわびた涼しい季節を楽しんでいるところです。南からの風も北からの風に変わり、季節がないと思われがちな常夏の国にも長く住んでいると、やはり季節の移り変わりのあることが分かります。 窓の外の緑の木立の中からはミンミンゼミの輪唱が絶え間なく聞こえ、雨上がりの空にはツバメが群れをなして飛び交う様を見ていると、今は12月と言うことを忘れてしまいそうになります。 雨季の合間の夜空を見上げれば、しばらく楽しませてもらった南十字星は何時の間にか姿を消し、変わって中天を占領しているオリオンやスバルの誇り高い輝きに見とれていると、ふと懐かしい日本の冬の冷たさが襲って来たような気がしました。 長くなりそうな今年の雨季は、長くなりそうなシンガポールの経済不況を反映しているようにも思えます。政府は強気の経済回復宣言を去年発表したものの、実状は政府の思惑とは裏腹に悪化する一方です。閉鎖、倒産する外国企業も相次ぎリストラ流行りの今年でした。50代が一番のリストラの標的となったようですが、私の夫もご多分にもれず、早期依願退職と言う形をとったもののリストラに変わりはありません。日本で言えば団塊の世代に属する50代前半の多くのシンガポーリアン(シンガポール人)がリストラに会い、何人もの知人が同じ状況にいます。逆境に強いのはどこの国でも女性達のようです。リストラに遇った夫を抱えキャリアを遂行しているシンガポールの女性達に逞しさと連帯感を感じます。 この不況で今の季節のシンガポール名物であるクリスマスライトアップもスポンサーが得られず、私がシンガポールに住み始めて依頼と言えるほど、寂しい暗い街並みを呈しています。 次の週末には、この4月に柴田町でお世話になったさくらの会の皆さんをシンガポールにお迎えするのですが、シンガポール自慢のライトアップをお見せすることが出来ないのが何とも残念でたまりません。 柴田町さくらの会のホームページが縁で、桜にも再会でき私にとっては例え日本にいたとしても遠い異国のように感じていた東北がとても身近な所となり、我が故郷の出来事より柴田町の日常に興味を覚えるようになってしまいました。特にタウン誌の毎回の更新は何よりの楽しみで、各コラムを担当されている皆さんの文から、めぐり行く日本の季節を楽しみ、日本の今の生活を垣間見、柴田町の散歩道を想像し、電柱の在かさえ思い描くことができる日本への心の里帰りをさせてもらっています。 さくらの会のホームページと皆さんとの出会いは私のニューミレニアムの年の一番の収穫物となりました。 少し早目かも知れませんがシンガポールで間もなく耳にし始めるご挨拶を柴田町の皆様に心を込めてシンガポールから I wish you a Merry Christmas
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