教 育 制 度

小学校でいい成績をとる為に幼稚園では「勉強」
の訓練がされています。授業があり、宿題が出さ
れ、テストがあり、通知表が渡されます。
あっと言う間に一カ月の休みも終わりシンガポールは新学期の季節となりました。今回はシンガポールの教育制度についてお話してみたいと思います。
 今年2月に地元の新聞に、シンガポール人、アメリカ人、日本人と国別に小学生を調査した記事が出ていました。面白い内容でしたので切り抜いて取っていましたので、紹介したいと思います。アメリカ人と日本人についてはシンガポールにあるアメリカンスクールと日本人学校の生徒を対象に調査されました。
 10歳から12歳までの小学生を対象に「何が一番不安?何に対して一番恐れてる?」と言う質問がなされ国別の回答が出されています。国によって答えが違うのが面白いですね。

シンガポール
アメリカ
日 本
1.試験で赤点をとること
1.友達を失うこと
1.両親の死
2.試験で良い点が取れないこと
2.両親の死に臨むこと
2.お金が足りないこと

 小学生だった40数年前、私はどんなことを一番恐れていたかと思い返してみました。やはり、両親の死を思うと怖くてたまらなかったことを思い出します。日本の子供達と同じ答えです。私はやっぱり日本人なんだと安心しましたが、みなさんが恐れていたことはどんなことだったでしょう。話が横道に逸れてしまいましたが、この調査結果からシンガポールの小学生がいかに試験の点数を気にしているかが分ります。どうしてそんなに成績を心配するのでしょうか。
 
幼稚園のコンピュータークラス
マウスやCD-ROMを上手に操作していました。
国の面積僅か647.5ku(ちなみに仙台市788ku)天然資源の持ち合わせのないシンガポールは「国民」こそが国の最重要資源だと政府は強調します。有能かつ優秀な人材を十分に確保することが国家の繁栄と成功の鍵だと言い切っています。頭脳明晰で且つリーダーシップを備えているエリートを輩出させること、それがシンガポール独特の教育制度の目的であるように私は感じます。シンガポールのエリート輩出方法を小学校から見て見ましょう。
 この国独特の振り分けシステムが小学校4年生終了時に進路選択試験と言う名で始まります。この試験の成績で生徒達は3段階の能力別クラスに振り分けられます。できる子できない子の選別は、実は2年生終了時から行われるクラス変えで水面下に始まってはいるのです。シンガポールでは小学校1年生から中間テスト、期末テストが行われその点数に従って上位から下位までのクラスが決められていきます。親は家庭教師を雇い、塾に行かせ、一点でもいい点数が取れるよう子供に勉強させます。子供の試験が近づけば親は勉強を見てやるために休暇を取ります。信じられない話ですが、本当です。子供達はその後も何回か選抜試験を潜り抜けて選り分けられて行くわけですが、二回目の選択試験は小学校6年生終了時に行われる小学校卒業試験と呼ばれる統一テストです。その点数によってどの中学校に入れるかが決まります。(毎年1位から100位までの中学校名が発表される)シンガポールの子供達は低学年の時から少しでもいい点数が取れるように、いいクラスに入れるように、プレッシャーを受けながら育って行きます。
 私の4人の子供達もこの教育システムの中で育って来ましたが、選抜試験をうまく通過した子、落ちこぼれた子、今この選抜システムの真っ只中にいる子と様々です。大器晩成型は必要としない、敗者復活はほぼ不可能、勉強以外の能力や人格はあまり重要視されないこの国の振るい落とし的教育システムがいつまで存続するのかとても興味を持っています。
 我が家の11歳の息子に上記の新聞記事と同じ質問をしてみました。シンガポール人と同じ答えが返ってくると想像していましたが、息子の答えは「コンピューターゲームができなくなること」でした。安心していいのか悪いのか、複雑です。