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シンガポールからのたより 2
つい10年ほど前までは、東南アジアの発展途上国の一つと言う認識に置かれていたシンガポールでしたが、今ではGNPも韓国を抜き日本と肩を並べるほどになりました。私がシンガポールに移り住んだ1980年代後半には、日本からの経済援助、技術援助をさまざまな分野で具体的に見ることができました。
ところが1990年代半ば頃から日本のシンガポールに対する援助と言うことばが次第に、協力、共同、連携、イコールパートナーシップと言うことばに変わり、シンガポールもついに経済先進国の仲間入りを果たしたと認められることになりました。 しかし喜んでばかりはいられません。世界一の経済大国を成し遂げた日本には数々の問題が残されました。家庭崩壊、学校崩壊、心の病、自殺、カルトの出現など。シンガポールも例外ではないようです。ちらちらとそのような兆候が見られますが、まだ手遅れではありません。シンガポールは経済成長を日本から学びました。ですから、その後日本がどのような道をたどっているかも学習済みなのです。シンガポールはその学習済みの知識を今後どのように自国の政策に反映させ、処して行くのでしょうか。と言ったような背景のシンガポールから、身近な出来事を通して「シンガポールの今」を次回からお知らせできたらと思っています。 シンガポールと日本の関係は過去一時期、不幸な時もありましたが、今は二国間にはとりたてて懸念される問題もなく、大変良好と言える状態です。日本贔屓も多く、特に若い世代では日本のファッション、グッズ、Jポップ、歌手、俳優、そして日本語さえも彼らの生活にはなくてはならないカリスマ的なものになっています。日本人にとってはシンガポールはよく知られているようで知らない人には全く知られていない感がありますので、簡単にシンガポールの案内をしておきましょう。
多民族、多宗教から成る国として有名なシンガポールではいろいろな言語が耳に入ってきます。公用語としては英語、マレー語、中国語、タミール語が使われています。異民族間の言葉の壁を解決するために、シンガポールでは早くからバイリンガル政策がとられました。どの国民も英語を解すること、そして各民族の言語、文化的伝統を継承していくことを国の指針に始められたバイリンガル教育は大成功を収め、今でも幼稚園からバイリンガル教育の下で子供達は2カ国語を難なく操って育っていきます。シンガポールでは誰でも最低2ヶ国語を話し、3ヶ国語、4ヶ国語話せると言ってもめずらしいことではないようです。 5月の最終週からシンガポールは幼稚園から大学まで一斉に一カヶ月の休みに入りました。シンガポールの行事は学校の休暇に合わせて行われるものが多く、多数の政府後押しのイベントが目白押しで、毎年6月はシンガポール人がエキサイトする季節となっています。シンガポールへ旅行を計画される方は是非6月に訪れてみてください。国中で一カヶ月にわたって繰り広げられる、グレートシンガポールセールではショッピング目的の旅行には最適ですし、世界中からアーティスト達が集まるアートフェスティバルでは、日本に比べるとずっと安い料金で一流の音楽やミュージカルを楽しむことができます。英語のサイトですが、イベントの内容、料金、時間、場所が詳しく出ています。http://www.sistic.com.sg/tkevents/default.htm |