18 2002.11.3エスプラネード・シアタ・オン・ザ・ペイ
傑出した芸術家がいないわけではありませんでしたが、経済優先で国の成長にやっきとなっている時には芸術に目を向ける余裕はなかったのでしょう。優れた芸術家がいても、それを受け入れ鑑賞する受け皿がなければ豚に真珠です。真珠は飾られるにふさわしいところを求め、或いはふさわしいところから求められて流れて行ってしまったのが、過去のシンガポールだったようです。 経済発展を遂げ先進国入りしたシンガポールもようやく文化・芸術に目を向けるようになり、1990年代から毎年アートフェスティバルを開き、国内外のアーティストの紹介、そして国民に芸術への啓蒙を進めて来ました。 機熟し、シンガポールに国際級のコンサートホールと劇場が完成しました。名付けて“Esplanade theatres on the Bay”。エスプラネードの意味は、(海、川、湖)沿いの遊歩道だそうで、その名の通り、シンガポールリバーが海に注ぐマリーナベイにお披露目をしました。9月にお引越しを済ませたマーライオンとベイを隔てて向かい合い、新しいシンガポールの観光名所となりました。 10月12日からの柿落としのロンドン・フィルとニュヨーク・フィルの公演はどちらも即切符完売でしたが、幸い大好きなJazzコンサートの切符が手に入りましたので、最新最高の音響設備と機種、国際級のコンサートホールを体験しましょうと、ドイツからのWRD Big Bandの公演に行ってきました。1600席のコンサートホール内部も音響もやはり前評判通り素晴らしいものでした。エスプラネードがシンガポール人一人一人のための施設になるようにとの政府の願いは案外早く実現して行くような気がします。
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