11マーライオンのお引越し
シンガポールのシンボルであるマーライオンを実際に見たり聞いたりと、ご存知の方も多いことと思います。この国のランドマークでもあるマーライオン引越しのニュースが3月上旬に正式に発表されました。世界3大がっかり名所の一つとして名を馳せているマーライオンですが、その歴史は意外に短く僅か30年、シンガポール独立の歴史が37年ですから短いのも無理からぬことと納得です。
世界3大がっかり名所はいくつか説があるようですが、私が聞いているのは、ベルギーの小便小僧、アムステルダムの人魚像です。その他シドニーのオペラハウス、エジプトのスフインクスなどの説もあるようです。しかしどの組み合わせであってもマーライオンは必ず3大がっかり名所の中に入っている特異な存在であるようです。それほどに訪れる人をがっかりさせているマーライオンはそれだけ名が知られていると言えるでしょう。 シンガポールリバーが海と合流する河口に位置している現在のマーライオンは、目の前のエスプラネード橋を隔てた海寄りに300メートル移動するのだそうです。国のランドマークの位置を移動させてしまうその大胆な決断はシンガポールの数々の大胆な変革と合い通じるものがあり、シンガポールらしさを感じます。 私の個人的感傷で言いますと、マーライオン周辺の街並みはこの数年、住民でも驚くほど急速に変化してしまっているのですが、マーライオンの場所だけはそのまま変わらないでいてもらいたい思いがあります。シンガポールに住み始めて15年、この間にどのぐらいのお客様をこの場所に案内したかと、改めて思い返してみました。大勢の知人、友人、知人友人を介して尋ねて下さる初めてお会いするお客様などなど、いろいろな出会いを作ってきた個人的シンガポールの歴史の場所でもあるのです。どの角度から見ても絵になる今のマーライオンの位置がとても気に入っているのも、お引越しに賛成できない理由です。 ![]() 私個人のおもわくがどうであろうと「マーライオンさまのお引越し」は4月17日水曜日午前9時から午後1時までの干潮時をねらい、20名のエンジニアスペシャリストチームに見守られ執り行われようとしています。この日シンガポールを訪問予定の方はぜひシンガポールの歴史に残るひとときを見学されてはいかがでしょうか。新聞にはカラー刷りで、どのようにマーライオンを移動させるのかステップごとの図解と詳細な解説が載せられました。シロウトにもなかなか大変な作業であるようだと思わせるような記事でした。
数日前に日本からお客さまを迎え、久しぶりに現在のマーライオン公園に案内しました。12月にさくらの会の皆さんをご案内した時とはすっかり様子が変わってしまい、立ち入り禁止のテープが張りめぐらされ、公園の中には入れなくなっていました。クレーンが組まれマーライオンの足元の波も取リはずされてお引越し待ちと言った様子でした。ひっきりなしに訪れる観光客は、公園の中に入れないことがわかるとあきらめてはなるものかとマーライオンの脇にあるエスプラネード橋の上へ回り、橋の上は引越し待ちのマーライオンを背景に記念撮影をする人でいっぱいでした。 新しいマーライオン公園の開園は2002年9月と予定されています。新しい場所でのがっかり度指数も更に増し、ますます有名度が上がり、ますますシンガポールを訪れる人が増えることを期待したいものです。 |