NO-42

 
眉あげて蔵王望めばわが短歌(うた)のひとすじの道かようがごとく
 
 あけましておめでとうございます。どんな初春をお迎えですか?。みなさんにとって良い年でありますように念願しております。私の家族も揃って健康で新年を迎えました。私も身体を大切に短歌に精進したいと思います。
 明けがたの蔵王は私の短歌の大きな主題です。
 “短歌に個性をつける”“個性的な短歌を作る”同じことですが今年の目標です。短歌は引音で詠む短誌形の文学です。短詩形ゆえに“個性的であろう”とすることは“独りよがりになる”ことと紙一重の危険性を学んでいます。ともすれば独善的になろうとするところを踏みとどまって(みなさんに分かってもらえる)+(味が有り心に響く)=個性的な短歌…となることが目標です。
 さて、時間を昨年の1212日(水)にもどします。
 私は冬の星空が好きです。天気予報で翌日に“お日さまマーク”が付くと目覚まし時計を3時にセットします。1212日の早朝は、すばらしい快晴でした。気温は−1℃。空気が澄み切って星の煌きが冴えていました。フード付きの防寒のジャンパーの上下にマスク。野球帽といういで立ちで、懐中電灯を手に東船岡小学校を目指します。もちろん健康のための散策を兼ねています。
 町の東端を流れる阿武隈川の方向へ歩いてゆくのですが、スーパーの北海屋の前からは直線道路になり、星空を存分に楽しみながら足を進めます。なにしろ早朝のこと、自動車の通行も無いので好都合です。大熊座の北斗七星が仙台市の方向の空に光っていました。銀河は阿武隈川に沿うように南から北へ夜空を横切っていました。細い下弦の月が南の空(ロケット開発センターの方向)にあります。
 “カラオケのウグイス”を過ぎて新田集会所まで来ると、辺りは水田地帯になります。夜間照明が勿体ないほど明るく周囲を照らしていました。オレンジ色の外壁の1階と2階に10室ずつの部屋が並んでいて、部屋ごとに丸くて大きな照明が灯っているのです。大きな遊戯場が出現したようです。
 <太陽が属する銀河系の何個の星を私の肉眼で捉えられることができるのだろう?…。>などと考えながら、星の瞬きに酔いしれて歩いていました。北斗七星がスッと私を宙に掬ってくれたような感覚がありました。

あおじろき光芒ありて交信の北斗はわれを宙に掬いぬ

 今では若水を汲む術(すべ)もありませんが、伝統的な正月の習俗には、私の心を新たにしてくれるものが籠もっています。



 三十一音の韻律の文学の魅力にはまって三年になる。平成11年上期の河北歌壇賞(河北新報社・佐藤通雅選)を受賞した。
 短歌を勉強すればするほど、類形的でまとまりすぎて新鮮味がなくなった。表現が古めかしくて色褪せてきた…などと言われるようになった。むずかしいものである。「歌は人である」と言われるが、色褪せた自分にどんな春の彩りをそえて旬の短歌を作ろうか…と考えている。
柴田町船岡在住・渡辺 信昭