宮城県内をサービス・エリアにする東北放送TVや仙台放送TVのテレビ塔がある大年寺山に虹がかかった。
朝からの雨があがり、霧の裂け目から束のような太陽光が山に射した。あれは、私の青春時代の映画館のようだった。館内にただようタバコの煙の中を、映写室のレンズから放たれた光が束のようにスクリーンに走る。 あの光のイメージだった。 大年寺山の北、仙台市の中心街の上空は梅雨空。整えられた舞台背景の前に立つ華麗な衣装の女優のような虹だった。梅雨空の1カ所、細い裂け目から僥倖のように射す太陽光の織りなす虹に私は見とれていた。用件を済ませた私は、仙台市太白区の富沢公園の東屋にいた。 <あゝ虹と>私はつぶやいた。 心の中を笛伶(笛を吹く楽人)がひとり、高音の抑揚の無い澄んだ音を響かせて歩いてゆく。横笛のピーという細く長い音である。 笛伶は少年の私だったのかもしれない…。 <ああ、時間だ>と気付いた私は地下鉄の富沢駅へ向かった。 仙台市へ行く楽しみの一つに、PR紙・誌を収集することが加わった。私は、それらを地下鉄の長町駅か富沢駅で手に入れる。長町駅は地下通路を改札口に向かっていっての右側、改札口のすぐ手前にある。棚というのか柵というのか、鉄線で組み立てられた入物に差しこんである。富沢駅は改札口を出たフロアの右側、出入口の脇にある。 情報のカタマリの紙・誌で▲ホホウ、と感心し▲アレッと驚き▲エヘヘ、と笑える話題にあふれている。もちろんタダである。先月手に入れてきたPR紙・誌は @読売マンヌリーマガジン〔cha!〕発行/(株)オーエスクリエイトよみうりcha!編集室。毎月第4土曜発行。タブロイド版12ページ。 A〔ぱど〕編集と発行/廣済堂仙台情報センター。毎週金曜日発行。タブロイド版の変形16ページ。 B〔かわら版〕版元/仙台開府400年記念事推進委員会。A4版2ページ。 C〔せんだい市史通信〕仙台市博物館市史編さん室。A4版4ページ。 D〔健康増進センターだより〕仙台市健康増進センター。A4版2ページ。 の5紙・誌である。では、ホホウ、アレッ、エヘヘ…と感心し、驚き笑ってしまうような情報とはどんなものか、ひろってみよう。 ★新婦旅行でケニアへ行ったカップル。 アフリカに魅了されてしまった。5年間かかってお金を貯め、車の整備を勉強し、日本のキャンプ場で修業する。夫婦で会社を退職し、1年6カ月かけてアフリカを縦断した。南アフリカ→ナミビア→ボッワナ→ジンバブエ→ザンビア→マラウイ→タンザニア→ケニア→ウガンダ→ケニア→エチオピア→エリトリアの11か国を縦断したと。国境が突然に閉鎖になったり、役人に“袖の下”を要求されたりする。砂漠で道を見失い、頼りのわだちが雨で消えたりする。アフリカの自然はすごく、地形や植物動物…と「なんだこりゃ」が次々に押し寄せたという。しかし「楽しかった」と思えたのは帰国してからだったと。 ところでこの11か国は?と、26歳になる次男が高校で使用していた新詳高等社会科地図(帝国書院)を広げてみた。が、最後のエリトリアが見つからない。広辞苑の第5版で確認すると、1993年にエチオピアから分離独立したと。最新の世界地図を購入しなければ、とおもいしらされた。 ★ゴーヤーのサラダ NHK朝の連続テレビ小説「ちゅうさん」で知った沖縄の野菜ゴーヤー。“ゴーヤーマン”なる人形にもなったが、ビタミンCが多く含まれた野菜らしい。中の種を取り、2〜3ミリの厚さに切って沸騰した湯の中にサッと潜しサラダにするとおいしい、と。 ★夫婦で保育のプロ「チャイルドマインダーに」 失業した夫婦がチャイルドマインダーの資格を取得し、24時間少人数保育の「パピイクラブ」を開業した。 ――以上〔CHA!〕―― さて、このチャイルドマインダーなるものが分からず〔ぱど〕を見ると「チャイルドマインダー受講生募集!」の広告があった。自宅や訪問先で少人数制で子どものケアをする個別保有のエキスパートを言うのだそうだ。で、NCMA,JAPAN仙台校でその養成を行っていると。 ★「小僧のたわごと・OL投稿」 ・ヤクルトの古田に命をかけているY子。ようやく手に入れたバックネット裏のチケット。そして叫んだ「アンパイア邪魔!」…(守) ・隣の車線を走っている会社員風の男性が歯磨きしながら運転。その後の処理を想像したら気持ち悪くなったので運転に集中した…(マツ) ・店先にディスプレイしていた皮のコートを指し「コレ、牛100%ですか?」と聞かれたので「挽き肉じゃないんですよ」と言ったことがある…(元店員) ――以上〔ぱど〕―― ★貞山堀は? 宮城県塩釜市牛生から岩沼市納屋にかけて、塩釜、多賀城、仙台、名取、岩沼の5市を流れている運河。古くは仙台城築城のために伊具や亘理方面から木材を運ぶために開かれた木曳堀で、その後改修された。次いで塩釜の牛生と仙台の蒲生間の水路(別名・御舟入堀)が開かれて、米の運搬に活躍した。貞山堀の名は藩祖正宗公の贈り名「貞山」にちなんだものである。 ――以上〔かわら版〕―― ★仙台城下町Q&A Q:侍は毎日仙台城へ出勤したのですか? A:侍は必ずしも役職に就いているとは限りません。仙台藩の場合、中級以上の武士は仙台城下と領地の両方に屋敷を持っているのですが、役職に就いていない侍は領地に住んでいることが多かったのです。また、役職に就いていても、仕事のため仙台城や藩の役所へ出勤するのは数日に1回の場合が多いようです。侍は自由時間が多かったようですね。 ――以上〔せんだい市史通信〕―― これらの紙・誌を列車の中で読み、帰宅してからも読む。若者向けの広告には流行の先端情報がギッシリ。これもタメになる。PR紙・誌の魅力にハマッてしまったようである。 目を移すと、庭の紫陽花(あじさい)が盛りである。 |