NO32

2002.9.1
   




                  千葉県松戸市から




 かなかなかな…と鳴く声が少し涼風を呼び、かすかなコオロギの鳴き声に小さな秋を感じられるこの頃です。朝顔の絵は季節外れでしょうか。7月末に母が育てた行灯仕立ての朝顔を2種、松戸に持ち帰りました。3日ほど咲いて、その後は1ケ、2ケとチラホラ咲いて、暑い暑い真夏の日は蕾もなく、葉も弱っておりました。8月も末になり薄い絹地のような2色の朝顔は、行く夏を惜しむように、涼やかに咲いております。母が種を採り何代目かの朝顔はすっかり涼しい船岡の土地に合ったDNAになっているのでしょうか。朝、夕は朝顔にもここちよいのでしょう。青空色とワイン色の可憐な花を描いて送ります。

 7月末に突然、短大のクラス会が仙台で開かれ、実に私は38年ぶりに25人のクラスメートと再会しました。20歳で別れた時、皆、将来への希望と期待に輝いておりました。還暦間近になっての再会は、38分の年月をひとっとびし、興奮が一週間も尾を引いて、思考力も何も飛んでしまうほどでした。思ったことは、平安で穏やかな人生を送っている人は稀で、苦難を味わいそれを乗り越え、困難な中にあっても、全てを受け入れている、悟りと女性の強さを感じました。当時は経済的にも家庭的にも恵まれた苦労知らずの女の子の集団でしたが、40年近くの歳月は、苦あれば楽あり、ケ・セラセラ、「人生ってー楽しいものですねー」口ずさんでしまう実感でした。

 現実に戻り、まごちゃんを見ていると、いとおしくて、できるだけ穏やかな人生をと願ったりするのです。母はひ孫に会って一緒に温泉に行ったりしておりますが、私はまごちゃんの子どもを見ることはできるかしら。すかさず娘が「お母さん、大丈夫よ。おばあちゃんの血を引いているから」と言いました。今年もそろそろ敬老の日。朝顔のDNAじゃないけれど、娘、孫、ひ孫の安心の為にも、いつまでもいつまでも元気でいてください。お母さん。