千葉県松戸市から ![]() 香りの良い花が暖房の効いた部屋の中で咲いている。小さな,小さな蘭の花はベビー用香水のような香りです。ぱんまつりの花は、青い花にふさわしい爽やかな香りが部屋一杯にひろがっている。外は今一番寒く、沈丁花の花はまだ蕾ですが、あの香りで一つの情景を思い出します。娘が生まれたのは一月末の寒い季節でした。子育ての重大さに花のことなど気にかける余裕もありませんでした。当時、神奈川の団地に住んでおり、義父が訪ねて来ました。義母からのお土産は、ベートーベンの交響曲第九番でした。
夕闇のせまる頃、バス停まで赤ん坊を抱いて見送った時、やわらかい風、ほのかに沈丁花が香ってきて『ああ,いつのまにか春になっている』 と感じたものです。若くて、まだ何の苦労もしていなかった、その頃のこと、義母の言い尽くせない喜びが、歓喜の歌 だったのかと沈丁花の季節になると思い出されます。
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