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                  千葉県松戸市から


  

 関東の暑く長い夏は、台風11号と共に峠を越して、日中は近くの森からミンミンゼミやツクツクボウシの声が聞こえて、まだ残暑が残るものの、夕刻からのコオロギや鈴虫の音と夜の風に行く夏を肌で感じるこの頃です。
 暑く雨が少ない今年の夏の果物は、特に甘味が強く20世紀梨の発生地の松戸の梨もおいしいようです。芸術的な造形の果物として、私はぶどうが大好きです。赤紫の巨峰、青いマスカット、黒ぶどうなど、色彩、実の形、葉の形、からみ合うツル、なんて素晴らしい果物でしょうか。房だけでも美しいのだから、木に実る姿を見たいものだと思い、玄関脇のごく狭い場所に一昨年苗を植えました。昨年はフェンスにやっと枝が絡みついた状態でしたが、繁る葉が涼を誘い、紅葉の葉も美しいと思いました。
 今年の春、始めてぶどうの小さな花を見つけて、今、想像もしなかった、しっかりした実が育って赤紫に色付いています。7月のある日、家の周囲にカラスが5、6羽群がっていて、何事かとびっくりして見ていたら、せっかく形良く房状に下がったデラウェアーほどの青いつぶつぶの実を食い荒らしているではありませんか。ぶどう棚もなくフェンスに絡みつかせただけでしたから、容易にカラスに盗み食いされてしまいました。
 残った大事なぶどうには袋をかけて、ピカピカのCDを2枚ほどぶら下げてカラス撃退を施しました。そのかいあってか、最近、毎日食べ頃を確かめるべく、一つぶずつ試食しています。房も色も青から赤紫と不ぞろいですが、芸術的な姿に満足しています。その上とても甘く香り高く、幸せな気分になります。