千葉県松戸市から ![]() 昨年の9月、私はフレスコ画を教えてくださる先生に出会いました。「先に生まれた」という言葉には抵抗があるほど、子供の年齢に近いほどの若さで、ギリシャ彫刻を思わせる風貌の芸大の講師の方です。日本ではなじみのうすいフレスコ画という技法をいろいろ教えていただき、今、新鮮な気持ちで絵を学んでおります。
簡単にフレスコ画を説明しますと、エジプトの壁画、ヨーロッパの教会の壁画(ミケランジェロの最後の審判)など、主に壁画に描かれた漆喰に似た技法です。石灰を高温で焼き、水を加えて消石灰にしてから砂を混ぜて水で練り、壁に塗りつけた生渇きの間に顔料を水で溶いて絵を書きます。 昨年10月、ポンペイに行く機会に恵まれ、紀元前のフレスコ画を観て参り、感動のまま模写をしました。中学の美術本にある、後ろ姿の美女「花を摘むフローラ」でした。 フレスコ画は壁状でありインターネットに載せられないのでパステルで少しはフレスコ画の雰囲気が出るかしらと、ポンペイで火山灰の中から出てきた壁を描きました。 ![]() ポンペイは紀元前4、5世紀には人が住み、前80年頃にはすでに都市が出来上がっていた所です。79年にベスビオス火山の大噴火により、6メートル以上の火山灰と火山礫に埋もれ、再び人間が住みつくことはなかった地です。
18世紀中頃から本格的な発掘が始まり、今、私達は2000年近く経て当時の都市をほとんど見ることができます。“百聞は一見に如かづ”まさにそのとおりで、想像もつかない規模でした。一都市全体が埋没した噴火の規模のすさまじさにも驚きながら、その都市の広さにもため息がでました。城壁に囲まれた町には円形劇場、神殿、公共広場、浴場施設があり、升目状に道路が走り、商店街にはブドウ酒屋、パン屋、果物屋、靴屋、洗濯屋、染物屋が連なり、個人住宅に、目を見張るフレスコ画が描かれていたようです。 笑ってしまったのは、モザイクで犬が飛びかかるような絵が“犬に注意”なる文字と共に玄関床に描いてあったことです。
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