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                  千葉県松戸市から



はしご桜

 船岡の桜は今が満開で,山,川,空は桜色に染まっていることでしょう。こちらは桜蘂が散り吹きだまりとなって,桜の終わりを告げていますが,山桜,八重桜は見頃です。3月末に開花した桜は今年は花散らしの雨、風も無く、たくさんの感動を残してくれました。



 心に残った桜を二、三。
 八分咲きのピンクの桜に、ひらひらと花びら状の桜花雪とでも言いたような、なごりの雪が舞い、なんと表現したらよいのか、幽玄の世界を見ました。
 船岡の母と東京の桜をはしごして見て回りました。その一つ、新宿御苑の数種の桜はいずれも洗練された優雅な風格を漂わせ、大切に育てられた育ちの良さを感じました。千鳥が淵は華麗で、枝が手の届く所に伸びているせいか、ひとなつっこい優しい印象。浅草墨田公園は墨田川から船で眺めるのも、宴席を囲むも良く陽気で開放的。上野公園は母と私にとって子供たちの迷子事件の思い出にひたりました。
 山梨ではアルプスの雪の山脈と、くっきりと青空に姿を現した富士山を望む百名選大法師公園の桜は初々しく、爽やかな印象。樹齢何百年なのか、春ごとに幾世代の人を楽しませた身延山の枝垂れ桜は、流麗で重厚な趣、いずれも語り尽くせぬ美しさに感動しました。何よりも母と共に歩き、桜の中で優しい風に吹かれ幸せをかみしめました。
 それにしてもなぜ桜はかくも人々に様々な想いを抱かせるのでしょうか。