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                  千葉県松戸市から


別   れ

 人との別れはある日突然,予告なしに訪れるもの。最近だいぶ老い、気も弱くなっていた叔母が、目覚めない朝を迎えてしまいました。
 訃報にただ急いで新幹線に飛び乗りましたが、車窓には美しい青空と雲、雪を戴いた東北の美しい山々、穏やかな日の旅立ちに合掌。         
 船岡の白石川に架かる大橋からの眺めは、蔵王連峰が霞み、堤防はまだ冬枯れの桜並木、残雪が真綿を散らしたような館山、叔母がいつも手を合わせていた観音菩薩像が夕陽に輝いて・・・・ 

 ただ一人 旅立つ彼方 雪菩薩

 たとえるなら、春を待つかたいつぼみをたくわえた老木の桜の枝が、ぽっきり折れてしまったような心残りな、哀しい別れとなってしまいました。