千葉県松戸市から 上野の桜で思い出すこと
上野公園の桜は、春休み頃満開となり、その頃の人出は60万人とも言われています。もう23年前になりますが、船岡から孫2人を連れて上京した母と、私の子供2人、計6人で、パンダを訪ねて動物園に行きました。 汗ばむような陽気で、しかも大変な人出。行列を待った挙句にやっとこさパンダにお目にかかりました。パンダは微動だにせず、厚いガラスケースの中の縫いぐるみ状態で、子供達の反応は『生きているの?』 と言いたげな表情でした。 トコロテンのようにパンダの前から押し出されてから、他の動物達を見て回り、出口近くになりました。長いトイレの列に並んでやっと4人の子供たちを交代してすませたところ、2人の子供が居りません。『まいご』です。4歳と5歳のまだ自宅の住所も電話番号も正確に言えない幼い二人です。それからが大変、芋の子を洗うような動物園を何度もぐるぐる探し回り、迷子保護所(何カ所もある)にも聞きまわり、孫を連れてきた母も、私も生きた心地がしない状態。必死で探し回ること2時間、今考えてもぞっとする汗。 『さては動物園を出たのでは』と今度は上野公園の足の踏み場もないお花見の宴会席の人出の中を探し回りながら『ひょっとして誰かに連れて行かれたのでは?』などと悪い方、悪い方にと考え、もうパニック。途方にくれた頃『上野公園口交番で子供2人を保護しています』というアナウンス。『うちの子供であってくれ』と祈るように公園口交番に行ったら泣きべそをかいた2人が居りました。 来た道を引き返し上野駅にたどり着いたとたん、2人のいとこ同志は泣き出してしまったというわけ。(ヤレヤレ) その後、私の足の爪は全部、足の裏にも血豆ができて回復に3週間程かかってしまいました。息子は『大きくなったらおまわりさんになる』と言っていました。 迷子の2人とも今は主婦になり、サラリーマンになりましたが、決して忘れられない桜の思い出になっていると思います。 孫を連れてきた母が最近『今度、上野動物園に行ってみたい』と言っています。ゆっくり2人でパンダを見に行こうかと思っているところです。 まてよ、迷子の2人に連れて行ってもらうほうが、82歳のおばあさんの本懐かな? 桜の花の咲く頃に。
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